はがき伝道  350号 「塵却記」

はがき伝道 平成29年12月 350号 真福寺

和算「塵却記」

 

江戸時代初期 吉田光由著作の「塵却記」が

江戸時代を通して算数を楽しむ

和算ブームを牽引した書物である。

 

「塵却記」という本の誕生は

多色刷り活版印刷の技術の発明により

版の重ねあわせによるズレを解消した

優れた書物として普及する。

 

イラストを豊富に使った見た目の良さと、

内容の凄さで

江戸時代を通して

庶民に愛読された。

 

「塵却記」の印刷技術は

後の浮世絵誕生の元となる。

そして、浮世絵は渡欧して

画匠ゴッホの絵画に影響したのである。

 

和算ブームを生む

きっかけとなった「塵却記」は

日本人の数学的センスを

世界的にも高度な水準に引き上げた

優れたものだったのである。

 

「塵却記」の内容を少し覗いてみると、

そこにはピタゴラスの定理、

平方根、立方根、

かけ算九九、割り算九九、

数の呼び方「一十百千万億兆京・・・・・・」と

基本中の基本の共通概念を、

日本人全体の知識として教育している。

 

天文、地理、測量、度量衡の計算、

ソロバン、生活に必要な計算から、

商人、職人、大工、土木、等々に必要な知識まで

網羅した教科書であった。

 

日本人共通の文字が読めることが

ベースになって

「塵却記」が読めるのである。

 

日本の津々浦々に

江戸幕府から告知の立札(看板)が立つと、

庶民はその文字を読み、

理解して、行動していた。

 

江戸市中にまかれる瓦版(今の新聞)も

読み手が文字を読めなければ

何にもならないのである。

 

江戸時代の和算ブーム、

武士から農民まで

それぞれ立場で寺子屋という塾が

林立していたことが

教育水準を世界的にまれな

高水準に引き上げていたのである。

 

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